結論から。書くのは「お客さんに聞かれたこと」です
現場ブログに何を書けばいいか。私の答えは一つです。お客さんに実際に聞かれたことを、1本につき1つ書く。これをおすすめします。
私は屋根職人です。屋根工事歴は20年以上、施工は2,000棟以上です。瀧澤屋根工業のサイトでは、ブログを50本回してきました。その立場から、私ならこう進める、というやり方をこの記事にまとめます。
先に断っておきます。この記事に、アクセス数や問い合わせ件数の話は出てきません。何本書けば結果が出るかは、地域や競合の状況で変わります。私が書けるのは、ネタの決め方、1本の組み立て方、続け方の3つです。
もう一つ。工事1件ごとの施工実績ページは、ブログとは別物として考えています。実績は「この現場で何をしたか」の記録です。ブログは「お客さんの疑問に答える」記事です。今回はブログの話だけをします。
ネタは3つの場所で拾います
机の前でネタを考えはじめると、手が止まりやすくなります。だから私は、考えるより拾うことをおすすめします。拾う場所は3つです。かぎかっこの中は、どれも説明のための例です。
1. 最初の電話で聞かれたこと
お問い合わせの電話で、お客さんが最初に口にした言葉です。たとえば「見に来てもらうだけでお金はかかりますか」「雨の日でも見てもらえますか」のような質問です。工事の中身より手前の疑問を拾えます。
2. 見積もりの場で聞かれたこと
見積書を出したときに返ってくる質問です。たとえば「この項目は何の費用ですか」「一部だけ直すことはできますか」。お客さんが迷っている場所を拾えます。
3. 工事中に自分から説明したこと
聞かれてはいないが、説明しておいたことです。たとえば「ここは今回触りません。理由はこうです」という説明です。職人の側が大事だと思っている判断を拾えます。
拾ったら、その日のうちにスマホのメモに1行だけ書きます。文章にしなくて構いません。お客さんの言い方のまま残します。「野地板の劣化」ではなく、「屋根の下の板が腐っているかどうか」と書きます。
私ならこう見ます。専門用語に直した時点で、そのネタは職人向けの記事になります。お客さんに読んでもらう記事にしたいなら、お客さんの言葉を題名に残します。検索窓に打ち込まれる言葉は、お客さんが口にする言葉に近い。私はそう考えています。
1本は5つの箱で組み立てます
ネタが決まったら、次の5つの箱を順に埋めます。書き出しで悩まないための型です。
- 質問:お客さんの言葉のまま、題名と冒頭に置く
- 答え:最初の3行で答える。理由は後に回す
- 理由:なぜそう答えるのか。現場で見てきたことを書く
- 判断基準:読んだ人が自分の家に当てはめられる目安を書く
- 例外:この答えが当てはまらない場合を正直に書く
たとえば「一部だけ直すことはできますか」というネタなら、こう並びます。
- 質問:屋根は一部だけ直せますか
- 答え:直せる場合と、直しても意味が薄い場合があります
- 理由:傷みが表面で止まっているか、下まで進んでいるかで変わるから
- 判断基準:どこを見ればその違いが分かるか
- 例外:一部だけ直すと、かえって割高になる場合
力を入れるのは4番と5番です。答えと理由だけの記事は、他の会社の記事と似やすくなります。判断基準と例外は、現場で実際に判断してきた人だから書ける部分です。ここが職人の書く記事の中身になると考えています。
長さは決めなくて構いません。5つの箱が埋まったら、そこで終わりにします。字数を増やすために話を足すと、1本に2つの質問が混ざります。2つ目の質問が出てきたら、それは次の1本のネタです。
写真は1枚あれば足ります。説明している場所が分かる写真を選びます。きれいな完成写真より、指で差して「ここです」と言える写真のほうが、質問に答える記事には合います。
続けるために決めておきたい4つのこと
文章のうまさより、続ける仕組みのほうが先に要ると考えています。私なら、次の4つを先に決めます。
書く日を先に決める
「時間ができたら書く」という決め方は、おすすめしません。現場が動いている間は、時間ができにくいからです。曜日でも、雨で現場が止まった日でも構いません。先に決めておくと迷いません。
ネタを拾う日と、書く日を分ける
書く日には、メモを開いて上から1つ選ぶだけにします。書く日にネタを探し始めると、探すだけで終わることがあります。
1回の作業を小さくする
5つの箱を箇条書きで埋めるところまでを、1回の作業にします。文章に整えるのは別の日で構いません。質問と答えがそろっていれば、箇条書きが残っていても記事として読めます。
出してから直す
公開した記事は、後から直せます。同じ質問をもう一度受けたら、そのときの言い方を足します。書き直しは手抜きではなく、記事の手入れです。
本数の目標を立てるより、次に書く日を1つ決めるほうを私はすすめます。目標の本数は、届かなかった月にやめる理由になります。次に書く日は、守れなくても決め直すだけで済みます。
書かないと決めておきたいこと
書くことと同じくらい、書かないことを決めておくと迷いが減ります。私なら、次の4つは書きません。
ひとつめは、自分が現場で触っていない話です。調べれば書けることでも、聞かれたときに自分の言葉で答えられない話は外します。記事を読んで電話をくれた方に、同じ説明ができないと困るからです。
ふたつめは、不安を大きくして終わる記事です。「放っておくと大変なことになります」で終わる記事は、読んだ人に判断材料を渡していません。傷みの話を書くときは、急がなくていい場合も並べて書きます。
みっつめは、他社を下げる話です。他社の工事の悪い例を並べても、自分の会社の説明にはなりません。
よっつめは、効果を言い切る表現です。「これで安心」「長持ちします」と書きたくなる場面はあります。私なら、条件を付けて書ける範囲だけを書きます。
日々の出来事を書くのが悪いわけではありません。人柄が伝わる良さがあります。ただ、何を書けばいいか迷っているなら、先に質問に答える記事から書くことをすすめます。ネタの出どころが決まっているぶん、迷う場面が減るからです。
最後に、今日からできることを一つだけ。今週お客さんに聞かれたことを、スマホのメモに1行書いてください。それが1本目のネタです。5つの箱は、書く日に埋めれば間に合います。

